三重県内で、地域密着型で食品配送を主力とする運送業者です。
近年の燃料費・人件費の高騰を受け、取引先への価格交渉の必要性は認識しつつも、「うちは交渉なんてできない」と価格交渉に踏み切れずにいました。
今回、み・エールbizのサポートを受けて、原価管理の考え方や交渉資料の整備に着手し、経営者の意識が大きく変わった事例をご紹介します。
どのような相談をしましたか?

長年付き合ってきた取引先に『取引価格を上げたい』とは、なかなか言い出せませんでした。しかし、燃料費も人件費も上がっていて、“このままじゃ赤字だ”という実感がありました。
ただ、いざ交渉を開始しようとしても、『どれだけ原価が上がったのか』『どこが赤字の要因なのか』など整理できていない状態でした。取引価格を見直したいという気持ちだけで交渉に行っても、相手には響かないと思い、み・エールbizに相談しました。
どのような助言を受けましたか?

「交渉は“データ”で準備を。相手が納得できる根拠を持ちましょう」
まず教わったのが、“感情ではなく、数字で伝える”ということでした。『運賃の内訳はどうなっているか?』『人件費の高騰はどれくらいか?』『燃料価格の推移は?』こういった情報を整理して、取引先に示す“説明資料”を準備するようアドバイスを受けました。
改善提案を受けて何をしましたか?

「ルート別に原価を算出。荷待ち・空車の記録も残しました」
専門家と相談しながら、会社に適した原価管理シートを作成していきました。
そして、配送ルートごとに走行距離・所要時間・荷待ち時間を参考にして、配送ルート毎のコストをExcelで“見える化しました。
それまでは“感覚”でやっていた部分を数値化することで、『これは採算取れてない』というルートが見えてきました。
同時に、見える化したことで、配送ルートの見直し等の改善点も把握でき、配送の効率化を行うことができました。
支援を受けてどのように変わりましたか?
「言いにくかった“価格転嫁交渉”が、根拠資料のおかげで言えるように」
『なんで今さら値上げ?』と言われたらどうしようと思っていましたが、資料をもとに丁寧に説明したら、意外と受け入れてもらえました。
交渉というと、どこか“勝ち負け”のような印象がありましたが、実際は“話し合い”と感じました。準備作業は大変でしたが、数字があると落ち着いて話せたことは、大きな発見でした。データを記録し続けることは大変でしたが、継続してデータを管理していきたいと思います。
行動計画
客観的な根拠資料の準備
価格転嫁- 価格交渉では、価格の根拠となる客観的なデータを提示することが必要となるため、客観的な根拠資料を準備する
- 燃料費調達等のエネルギーコスト上昇に関する資料
- 人手不足による労務費上昇に関する資料
交渉先の選定
価格転嫁- ルート別に原価を算出し、採算のとれていないルートを特定し、価格交渉を行う