変える勇気が、老舗を守る ― 老舗洋食店が取り組んだメニュー改革

Restaurant BONJOUR(ボンジュール)
業種
飲食サービス業
従業員規模
0~5名
経営者属性
二代目
支援テーマ
マーケティング
支援内容
プロモーション プロモーション
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三重県松阪市に店を構える老舗洋食店「レストランボンジュール」。創業者である父から店を受け継いだ二代目社長は、看板メニューの「松阪牛ハンバーグ」を中心に、本格的な洋食の味と落ち着いた店内空間を守り続けてきました。
長年積み重ねてきたこだわりと信頼は、多くの常連客に支えられ、地域に根付いた名店としての地位を築いてきましたが、近年の急激な物価高騰や光熱費の上昇が経営を直撃します。
これまでの成功体験や自身のやり方が通用しなくなり、伝統ある店の経営は大きな転換点を迎えることになりました。この厳しい状況を打開するため、みえビズに相談し、思い切った経営改革に踏み出しました。

どのような相談をしましたか?

2023年を境に、店を取り巻く環境は一変しました。電気代やガス代といった光熱費は大幅に上昇し、食材費も中には従来の1.5倍以上に膨らんだものがあります。収益構造が大きく揺らぐ中で、やむを得ず一部メニューの価格改定や人員配置の見直しを試みましたが、思うような改善にはつながりませんでした。

特に気になっていたのは、平日ランチタイムの売上の伸び悩みです。数字と向き合うほど焦りは募り、「自分の感覚が、今の時代とズレてしまっているのではないか」という思いが、頭から離れなくなっていきました。

店を継いでから年月が経ち、長年通ってくださる常連客に支えられる中で、お客様の年齢層も自然と自分とともに上がっていきました。一方で、若い世代が何を求めているのか、どうすれば店に再び活気を取り戻せるのかが分からなくなっていたのです。
かつて私が、店に新しい客層を呼び込もうと父に改善提案した際、その提案を否定される場面を目の当たりにし、「自分は変化を拒む経営者・料理人にはならない」と心に決めていました。しかし、いざ自分が経営の重責を担う立場になると、何を変えるべきなのか、どこから手を付ければよいのかが見えず、立ち止まってしまっていたのです。

このままでは、父が築き、自分が守ってきた「ボンジュール」の暖簾(のれん)を下ろすことになりかねない――。そんな強い危機感から、第三者の視点を求め、みえビズに相談することを決めました。

どのような助言を受けましたか?

専門家から最初に指摘されたのは、「料理の味には定評がある一方で、提供までの時間が長いと感じているお客様が少なくない」という点でした。そして、その課題を根本から解決するためには、オペレーションの改善だけでなく、メニュー構成そのものを見直す必要があるという提案を受けました。

正直なところ、非常に耳の痛い指摘でした。私たちは一品一品を丁寧に、妥協なく作ることに誇りを持ってきました。しかし、そのこだわりが、結果として現代のお客様が求めるテンポや満足度と噛み合っていなかったのです。具体的には、次のような改善提案を受けました。

提案1:圧倒的な人気を誇る看板メニュー「松阪牛ハンバーグ」を主軸に据え、その他のメニューを大胆に絞り込むこと
提案2:メニュー削減によって厨房の作業工程を整理し、提供スピードを大幅に向上させること
提案3:経営判断を一人で抱え込まず、若手スタッフや専門家の意見を柔軟に取り入れ、店全体を現代のニーズに合わせてアップデートしていくこと

特にメニューを減らすという提案には、大きな不安がありました。「この料理を楽しみに来てくれる常連さんが離れてしまうのではないか」という思いが、どうしても頭をよぎったからです。
しかし専門家から、「すべてを網羅しようとして中途半端になるより、絞り込むことで強みはより際立つ」と助言を受けました。自分の判断に自信を失いかけていた時期だったからこそ、この言葉を信じてみようと決意しました。

改善提案を受けて何をしましたか?

最初に着手したのは、メニューの断捨離、いわゆる“絞り込み”です。これまでは洋食店としての幅広さを売りに、多種多様な料理を提供してきましたが、主力である松阪牛ハンバーグを中心とした構成へと思い切って整理しました。

実施にあたっては、私一人で結論を出すのではなく、現場のスタッフと何度も話し合いを重ねました。若手スタッフに「今の価格設定やメニュー構成をどう思うか」と率直に意見を求めたところ、「いいと思います。やっぱりハンバーグが一番人気ですから!」という、前向きな声が返ってきたのです。
妻や同世代の知人からは心配の声もありましたが、若い世代の率直な意見に背中を押され、古い感覚に固執しない道を選びました。

効果は想像以上に早く表れました。厨房のオペレーションが整理され、仕込みや動線がシンプルになったことで、最大の課題だった提供時間は大幅に短縮。さらに副次的な効果として、食品ロスが減少し、食材管理やコスト管理の精度も向上しました。

最初は「メニューを減らすこと」への恐怖心が先立っていましたが、実際に動いてみると、厨房には自然と心地よいリズムが生まれました。スタッフ全員が同じ方向を向いて働けているという実感は、何よりの成果だったと感じています。

支援を受けてどのように変わりましたか?

仕込みの効率化や食品ロスの削減が進んだことで、無理な値上げに踏み切らずとも、一定の利益を確保できる体質へと少しずつ変わってきていると実感しています。それ以上に大きかったのは、今回の取り組みを通じて、経営者として一歩成長できたと感じられたことです。

今回の改革を振り返る中で、かつて私の提案を頑なに拒んだ父の姿が、ふと頭に浮かびました。当時は理解できなかったその態度も、今になってみれば、店を守る立場としての責任や、大切なものを失うことへの恐れから来るものだったのだと思えます。

料理人も経営者も、変化を恐れていては前に進めません。
進化を止めた瞬間、老舗はただの「古い店」になってしまう。自身のこだわりは大切にしつつも、外部の意見に耳を傾け、柔軟に変わり続けることこそが、結果として伝統を守る道なのだと、今回の支援を通じて確信しました。

専門家からは、メニューの断捨離(絞り込み)以外にも、多角的な視点から数多くの助言をいただいています。まだ取り組めていない課題も残っていますが、これからも歩みを止めるつもりはありません。

もし、私のように経営に悩み、孤独を感じている方がいれば、ぜひ一度「みえビズ」の支援を受けてみてください。大切な店を次の世代へつなぐための、前向きで勇気ある一歩になるはずです。

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行動計画

メニューブックのリニューアル

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  • メニューブックは、お客様への提案書だと考え、”お客様に何を食べてほしいか””オススメは何か”一目でわかるようにする
  • 提供メニューを絞ることで、提供スピードの短縮化や仕込み等の準備作業を軽減することができる

販売促進施策

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  • Instagramの効果的な活用(現在の運用はお休みのお知らせが中心であり、お店の特徴を伝えるために、ボンジュールのハンバーグの画像や調理シーンを撮影し、投稿していく)
  • Googleマップの情報の見直しと情報発信(現在はクチコミを中心とした集客に依存している。オーナー登録を行い、積極的に情報発信を行う)
  • 導線広告の実施(旅行客を集客するために、旅行客が立ち寄る可能性があるホテル等の宿泊施設や観光施設に、チラシやパンフレットを置いてもらう)

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