2023年に独立し、デイサービス事業をスタートした山下社長。創業当初から営業活動に奔走するも、思うように利用者の増加につながらず、苦悩の日々が続いた。提携先の介護施設のケアマネジャーとの関係性は築けていたものの、施設選びの決定権を握る利用者やその家族にとっては、知名度が安心材料となり、大手の施設が選ばれる傾向が強かった。そうした状況を打開すべく、「みえビズ」に相談。現場視点にとどまらない経営の視点やマーケティング戦略の提案を受け、着実に成長の道を歩み始めている。
どのような相談をしましたか?

介護業界での勤務経験は豊富だったものの、いざ経営者として独立したとき、これまでの視点だけでは限界があることを痛感しました。施設運営に関する実務には自信がありましたが、「どうやってこの施設を選んでもらうか」という課題に直面し、売上や利用者数が伸び悩んでいました。提携先のケアマネジャーとは関係性があったものの、実際にデイサービス利用を決定するご家族には弊社が知られておらず、なかなか選ばれない。その壁をどう突破するか、という点で「みえビズ」に相談することにしました。
どのような助言を受けましたか?

経営の専門家からは、次のような助言を受けました。
・利用者に選ばれるための情報発信の強化
・営業に充てる時間を意識的に確保し、新規開拓に注力する体制づくり
・「処遇改善加算」の取得による従業員の待遇改善と職場環境の向上
・社員価値観の共有と意思疎通の強化によるチームの一体感づくり
現場と経営の方向性が食い違えば、良いサービスは提供できません。従業員の待遇を見直すとともに、一人ひとりとの対話を大切にし、同じ方向を向いて進む組織づくりの重要性を改めて実感しました。
改善提案を受けて何をしましたか?

まず取り組んだのは、チラシの制作です。営業活動や利用希望者への説明に活用できるツールとして、施設の魅力を伝える必要があるとの助言を受け、制作をスタートしました。デザインや文章作成が得意な従業員がそれぞれの強みを発揮し、協力して完成させたチラシは、手作りながらも反響が大きく、実際に問い合わせの増加につながっています。
また、「処遇改善加算」の取得にも取り組みました。これは介護職員の賃金や労働環境の改善を目的に、介護報酬に上乗せされる制度です。専門家の指導のもと、必要な書類作成や申請手続きを進め、無事に認定を受けることができました。現場で尽力してくれている従業員に、少しでも還元できる仕組みを整えることができ、モチベーション向上にもつながっています。
さらに、組織としての一体感を高めるため、定期的な打ち合わせや個別面談を実施し、従業員の声を経営に反映させる取り組みも始めました。以前は形式的だった面談も、現在では具体的な課題や要望を共有する貴重な場として活用できるようになっています。
支援を受けてどのように変わりましたか?

まだ道半ばではありますが、確かな手応えを感じています。従業員と協力して作り上げたチラシを営業に活用したことで、施設の特徴やこだわりが利用者やそのご家族に伝わりやすくなり、問い合わせ件数が増え、利用者数も着実に伸びています。
従業員との関係性にも良い変化がありました。定期的な打ち合わせや面談を通じて現場の声を拾い上げ、経営に反映する仕組みが少しずつ整ってきました。エンゲージメントカードの導入も検討中で、モチベーションの維持や意見交換の場として期待しています。
何より、「相談することで視野が広がる」「課題が整理される」という実感を得られたことが、大きな成果だと感じています。今後も利用者ファーストの姿勢を大切にしながら、地域に選ばれるデイサービスを目指して取り組んでいきたいと思います。
行動計画
見込顧客の確保
新規顧客の獲得・販路拡大- デイサービス名「徳ディサービス」だけではなく、強みを訴求するため、チラシを用いた訴求を行う
- 保有する機器①シャワー浴「ウルトラファインバブルの浴槽」、②治療椅子「ヘルストロンスカイウェル」等の強みを訴求する
- 相手のベネフィットを意識したキャッチコピーや利用者の声をチラシに記載する
処遇改善加算の取得
給与体系の見直し- 離職防止等の観点から賃上げ原資となりえる処遇改善加算の取得を行う
- 処遇改善加算では、各職位に求められる職務内容を規定する必要があるため、役割等級、賃金規定の作成を行う
- その職務内容を社員に対して公開し、現時点で会社が期待することを伝え、それに対して、半期に1度など面談を行い習熟度や困っていることなどの相談を行う
社内コミュニケーションの強化
人材育成(管理者・従業員)- 現場の意見や課題を経営に反映する体制を整えるため、社内コミュニケーションの質と頻度を高める。
- 定期的な打ち合わせや1on1面談を実施し、形式的な報告に留まらず、職員一人ひとりの想いや提案に耳を傾ける環境をつくる。
- 加えて、エンゲージメントカード等のツール導入を検討し、気軽に意見を出し合える風通しの良い職場文化の醸成を図る。