三重県松阪市で創業して約75年。長年にわたりマツダ車の販売とメンテナンスを行ってきた「株式会社松阪マツダ」は、地域に根差した自動車販売店として、地元住民からの信頼を築いてきた。しかし近年、自動車の大型化や顧客ニーズの多様化により、販売台数は減少傾向に。そこで経営改善の専門家から助言を受け、情報発信と店舗ブランディングの強化に取り組むこととなった。
どのような相談をしましたか?

当社はこれまでマツダ車一筋で販売を続けてきましたが、近年の車両の大型化にともない、地域のお客様から「小型車や軽自動車を探している」という声をよく耳にするようになりました。一方で、マツダが近年推進している車種の多くは大型化が進み、当社の商圏ニーズと合わなくなってきていました。
実は、マツダ車以外の車種も扱える体制を整えていたのですが、そのことがなかなか地域に認知されず、販売に結びついていないという課題を感じていました。「マツダ専門店」という長年のイメージが強く、他メーカー車種を見に来る方も少ない状況でした。
どのような助言を受けましたか?

助言を受ける中でまず気づかされたのは、「取り扱えること」と「知られていること」は別である、ということです。当社がどれだけ他メーカーの車を扱っていたとしても、それが地域の方々に伝わっていなければ意味がありません。
店舗の外観に、他メーカーの車種を積極的にアピールするのぼりやポスターを掲出することで、「マツダだけではない」という視認性を高めること。SNSやブログといったオンラインでの情報発信を強化し、継続的に接点を持ち、記憶に残る存在になること。店舗が通行量の多い道路沿いに位置しているという立地を活かして、夜間のライトアップなどによる視認性向上を図ること。キャンペーンやイベントの告知など、行動につながる具体的な情報を発信すること。
…など、様々な助言をいただきました。
改善提案を受けて何をしましたか?

まず取り組んだのは「見せ方の改善」です。メーカーから提供されるポスターやのぼりを効果的に活用し、店頭や店内の各所に「マツダ車以外も取り扱い中」というメッセージを明確に掲示しました。
また、店舗の外観についても見直し、夜間でも通行人の目に留まるように照明を強化し、遠くからでも一目で「車屋さん」とわかるように工夫をしました。
ネットでの情報発信の重要性を再認識したので、社長ブログの定期更新を再開しました。単なる在庫紹介ではなく、メンテナンスの様子や、イベントレポート、個人的な話など、店舗の“人となり”が伝わる投稿を心がけることで、地域の方との距離を縮めることができるようになりました。
支援を受けてどのように変わりましたか?

今回の取り組みを通じて、私たち自身が見落としていた課題に気づくことができました。マツダ車が悪いわけではなく、当社の商圏に合った車種とのギャップ、そしてそれを埋めるための情報発信の不足が問題だったのです。社内でもこの課題を共通認識とすることができ、店頭・店内のPRや外観の改善など、基本的なところから丁寧に見直すことで、実際に他メーカー車種のお問い合わせが増加し、販売にもつながってきています。
今後も、「押し売り」ではなく、お客様のニーズに寄り添い、地域に愛される車屋さんであり続けたい。変化を恐れず、改善を積み重ねていく覚悟ができたことが、今回の取り組みの一番の成果だと感じています。
行動計画
店頭・店内PRの強化
プロモーション- 店舗の外観や店内に、他メーカーの車種を積極的にアピールする「のぼり」や「ポスター」を掲示することで「マツダ車だけではない」という認知を高める
- 店舗が通行量が多い道路沿いに位置しているという立地を活かして、夜間のライトアップ等により視認性向上を図る