三重県発のアパレルブランド「THYARD」を展開する有限会社エフティーデザインは、地元の素材を活かし、すべての工程を国内で完結させる“純国産”にこだわり、「着心地の良さ」と「肌へのやさしさ」を追求した高品質な製品づくりに取り組んでいます。
しかし、その価値をどう伝え、販路をどのように広げていくかが課題となっていました。
そこで、み・エールbizのサポートを受けて、情報発信の見直しと販路拡大に向けた取り組みを進めることにしました。
どのような相談をしましたか?

コロナ禍による外出自粛ムードの影響で、一時的に売上が大きく落ち込みました。ようやく回復の兆しが見えてきたタイミングで、全国のセレクトショップへの販路拡大を目指して営業活動を強化したものの、思うような成果にはつながらず、売上の拡大には苦戦していました。
当社は、国内一貫生産にこだわり、地元・三重県の生産者と連携しながら、高品質なものづくりを行っています。しかし、品質にこだわる分、販売価格がどうしても高くなり、その点が販売面での大きな課題となっていました。
さらに、私自身が商品開発からデザイン、営業までをすべて一人で担っていることもあり、限られた社内リソースの中で、何に重点的に取り組むべきか判断に迷っていたのです。そうした背景から、経営改善に向けた具体的なアドバイスを専門家に求めることにしました。
どのような助言を受けましたか?

まず指摘されたのは、私がすべての業務を担っているため、情報発信や販促活動に十分な時間をかけられていない点でした。アパレル業界では、安価な海外製品が市場の大半を占めるなか、日本国内での一貫生産比率はわずか1.5%と非常に低いのが現状です。
こうした状況においては、当社のような高品質な製品は「価格」で勝負するのではなく、「ストーリー性」や「価値観の共有」によって共感を得ることが必要であるという助言を受けました。高品質なものづくりの背景にある思いや、地域とのつながりといった「ブランドの物語」を発信することが、新たなファンの獲得につながるということでした。
さらに、「ホームページは24時間働く営業担当である」との言葉も印象的でした。少人数体制の当社にとっては、特にデジタルを活用した情報発信が販路開拓の要となることを強くご指摘いただきました。
改善提案を受けて何をしましたか?

アクセス解析ツールを活用してユーザーの行動を可視化し、どのページがよく閲覧されているのか、どこで離脱しているのかといった点を分析しました。加えて、第三者の客観的な意見も取り入れながら、具体的にどのような改善が必要かを一緒に検討していただきました。
その過程で、これまでのホームページは「THYARD」の世界観を伝えることに重きを置きすぎており、「この商品をもっと知りたい」「どこで買えるのか」といった購入を検討する方の視点が不足していたことに気づかされました。
そこで、お客様目線での情報構成を意識し、商品ごとの詳細情報や着用感、素材の特長、製造の背景などを丁寧に掲載。また、実際に商品を購入できるよう導線も整備し、ホームページ上での販売強化に向けて準備に取り組んでいます。
支援を受けてどのように変わりましたか?

現在、ホームページの情報を充実させて、ブランドや商品の魅力をより多くの方に届けられるように準備を進めています。今後は、個人のお客様にもホームページを通じて直接商品を購入していただけるようにすることを目指しており、それが新たな変化につながることを期待しています。
また、情報発信の強化に向けて準備を進めている段階ですが、すでに一部の取引先から商品へ関心や問い合わせをいただくなど、今後の販売拡大につながる兆しも見え始めています。
何より、私たちの「こだわり」が自己満足にとどまらず、きちんと価値として伝えられるよう、伝え方にも工夫を凝らしていきたいと考えています。
今回の支援を通じて、デジタルを活用する重要性、そしてその“伝え方”の工夫が、今後の経営における大きな武器になると実感しています。
行動計画
ホームページを活用した販売の強化
プロモーション- ホームページにて、ブランドイメージの発信に加えて、商品購入やプロダクト紹介に関する情報発信の強化する
- スヤードの魅力を知った顧客がホームページを訪れた際に、すぐに商品情報へアクセスできるように導線を意識したページ設計を行う