四日市市で「unbake(アンベイク)」を営む星名さんは、アメリカンベイクの影響を受け、可愛らしくて親しみやすいマフィンを中心に、洋菓子の製造販売を行ってきました。これまで多くの新規顧客との出会いの場となっていたマルシェでの販売は、売り切れるほどの人気ぶりでした。
しかし、コロナ禍の収束後、人々の行動パターンが大きく変化し、マルシェの集客力が以前のようには戻らないという課題に直面しました。この状況を打開すべく、み・エールbizの支援を受け、新たな販路の開拓にチャレンジしました。
どのような相談をしましたか?

マルシェでの販売は、unbake(アンベイク)にとって大きな柱の一つでした。ただ単に売上を上げる場ではなく、初めてのお客様にお店を知っていただく、いわば「入り口」として機能していたと思います。ところが、コロナが収束し、旅行やイベントが再開されたことで人々の時間の使い方が変わり、マルシェの集客が一気に減ってしまいました。
「マルシェに出店していれば売れる」という前提が崩れた今、どこでどうやってunbake(アンベイク)のマフィンを知ってもらえばいいのか…SNSを強化したらよいのか…何から始めるべきか分からず、経営のプロに相談しました。
どのような助言を受けましたか?

まず、マルシェの集客は自分の努力だけではどうにもならないという現実を受け止める必要があるとご指摘いただきました。その上で、「天候に左右されない販路の確保を」ということで、百貨店やスーパーなどへの出店を新たな選択肢としてご提案いただきました。
また、私自身では当たり前になっていたのですが、「パッと見て、マフィンと分かりにくい」という課題もご指摘いただきました。unbake(アンベイク)のマフィンは、見た目も味も個性的で、それが魅力でもあるのですが、初めて見る方にとってはマフィンと分からないこともあったのです。そこで、新規顧客へのアプローチを考えるなら、商品そのもののパッケージデザインも見直す必要がある、とのご提案をいただきました。
改善提案を受けて何をしましたか?

ご助言を受けて、デザイナーさんにも協力してもらい、パッケージとポップを大幅にリニューアルしました。パッケージには、マフィンの写真やお店のキャラクターを載せて、より分かりやすくなるよう工夫しました。
そして、地元の百貨店やスーパーでの販売を順次スタートさせました。これまでとは異なる販売形態のため、準備や対応も新たな学びの連続でしたが、徐々にunbake(アンベイク)を知らなかったお客様にも届くようになり、反応をいただけるようになりました。
支援を受けてどのように変わりましたか?

今回の取り組みは、マルシェだけに依存せず、販路の多様化を考えるきっかけとなりました。もちろん、マルシェはこれからも大切にしていきたい販売の場ですが、新しい販路を開拓することで、より多くのお客様に知っていただける可能性が広がったと感じています。
これまでは、私が販売する場面ではお客様との会話の中で自然にunbake(アンベイク)のコンセプトや商品について伝えることができていましたが、今後の販路拡大を考えると、商品そのものが情報を届ける役割を果たす必要があります。そうした視点が加わったことで、パッケージの見せ方や伝え方についても考え直すことができました。百貨店やスーパーでの販売は、販売先との調整や商品管理など、これまでとは異なる対応が求められますが、その分、新たな客層へのアプローチにもつながり、今までにない広がりを実感しています。
今後の展開として、ワンちゃんと一緒に同じおやつを楽しめる商品を開発したいという想いもあります。いわゆる犬用のおやつではなく、家族の一員として同じ時間を共有できる“お菓子”として、人も犬も安心して口にできるものを形にしていきたいと考えています。
行動計画
販路拡大のため、屋内商業施設へのイベント出店の強化
新規顧客の獲得・販路拡大- 天候に左右されず、安定的な集客が期待できる屋内商業施設(百貨店やスーパーなど)へ積極的に出店する
- 屋内商業施設では、マルシェと異なる顧客を対象とするため、商品価値が伝わりやすいよう商品パッケージやPOPを見直しを行う