創業130年の老舗酒造、次世代への発展につなげる経営改革

株式会社大田酒造
業種
製造業
従業員規模
11~20名
経営者属性
同族
支援テーマ
戦略・事業開発
支援内容
組織体制 経営改善計画のブラッシュアップ
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大田酒造は、三重の酒処・伊賀の地で130年に渡り、地域にねざした丁寧で良質な酒造りを行っています。戦国時代に活躍した伊賀忍者の頭領「服部半蔵」にちなんで名付けられた清酒「半蔵」は、2016年の伊勢志摩サミットにおいて、乾杯酒として各国の首脳に振る舞われ人気を博しました。コロナ禍に酒類業界全体が厳しい状況に陥る中、今までの伝統や知名度に甘んじることなく、次世代への発展につなげていく経営改革に着手。2019年に新たに杜氏に就任した七代目・大田有輝氏が中心となり、金融機関や中小企業診断士の支援を受けながら、営業体制の整備や経営計画の策定に取り組んでいます。

どのような相談をしましたか?

コロナ禍における飲食店の営業時間短縮や酒類の提供制限などの影響を受けて、酒類の需要は大きく落ち込み、業界全体が大打撃を受けました。大田酒造も一時は大きく売上を落とすことになりますが、その厳しい状況が、老舗企業が抱える課題を一層顕在化させました。 サミットで話題になったことで、知名度も上がり、年間10〜15件の新規得意先との取引を開始できていましたが、その貴重な接点を継続的な取引へと広げていくことに苦労し、せっかくつかんだチャンスを活かしきれていませんでした。そこにコロナの影響が重なり、事態はさらに悪化します。 コロナ禍においても、酒造りへの情熱が失われることはありませんでしたが、思いだけではなかなか販売までつなげていくことはできません。そこで経営改革をするにあたり、支援を受けることになりました。

どのような助⾔を受けましたか?

専門家からは、以下の提案を受けました。 提案1:ターゲット(規模や地域)の設定と各セグメントへのアプローチ手法を明確にした営業戦略を策定し、新規開拓やフォローの体制を整備すること。 提案2:次世代の大田酒造を担う経営者を中心に、中長期の経営計画を策定し、会社の方針として社内に行き渡らせること。 伝統の酒造りで信頼を獲得してきた酒造ですが、社会状況も大きく変化する中で、時代に合った商品開発や営業活動を再構築していく必要があります。そしてそういった活動を展開するためには、経営者が描く将来のありたい姿が明確になっていなければなりません。 ちょうど2019年には、七代目の大田有輝氏が杜氏に就任し、意欲的に新しい試みに取り組み始めていたタイミングでした。専門家からは、営業戦略を策定するにあたって、次世代を担う経営者の思いが込められていること、そしてその定めた方向性をきちんと共有し、社内全体のベクトルを揃えていくことが非常に重要だという助言を受けました。

改善提案を受けて何をしましたか?

営業戦略を策定し、伴走支援者(金融機関)や中小企業診断士との定期的なミーティングのもと、営業活動の進捗を管理しながら進めました。また中長期の経営計画を策定し、必要な投資や組織再編、資金等の検討も行いました。 商品開発にも力を入れており、「食事と人を繋ぐ」をコンセプトに社内の若手チームで手がけた「&」シリーズや、「半蔵」シリーズもリーズナブルな晩酌向けから贈答用の高価格帯、限定酒や季節商品までラインナップを広げており、営業戦略と同期しながら、新たなターゲット顧客や売場を開拓できる商品展開も拡充しました。 さらに、専門家からのアドバイスを受けて、直営店「酒蔵りかこ」もリニューアルしました。以前は別メーカーの酒類も取り扱っていましたが、現在は「半蔵」を全面的に売り出す構成に変えています。直営店は、県内外のお客様と直接コミュニケーションを取れる貴重なPRの場です。「半蔵」の全ラインナップを揃え、試飲スペースも設けるなど、「半蔵」ブランドを体験できる施設として効果的に機能しています。

⽀援を受けていかがでしたか?

専門家の伴走支援を受けながら営業体制を整備した結果、取引先も順調に増え、一時は落ち込んだ売上もコロナ前の規模に戻ってきています。 また経営計画を策定したことで、将来のあるべき姿が経営陣や社員の間でも共有され、中長期の視点での新たな商品開発や顧客開拓、そして「半蔵」のブランド化を進めています。 今後は、海外での日本酒ブームをふまえて、輸出にも力を入れていく予定です。そのためには、製造量の増加に耐えうる生産体制を構築する必要があると共に、「半蔵」の酒質をより高いレベルへと引き上げていきたいと考えています。 今回の専門家の支援を受けて、次世代への発展につなげる基盤を整備でき、さまざまな前向きな挑戦を進められる状況をつくれたことを大変嬉しく思います。

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行動計画

営業体制の整備を図る

組織体制
  • 新規取引開始先の継続化を図るために、フォロー体制を構築する。
    組織としての営業活動を行うために、規模や地域などターゲット設定を行い、アプローチ方法などの選定を行う。

経営計画の策定

経営改善計画のブラッシュアップ
  • 経営のベクトルを合わせるため、現状把握し、将来のあるべき姿を思い描いた上で、達成に向けた計画策定を行う。
    その際に、必要な投資や組織再編、資金等の検討を行う。

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