株式会社富永米穀店は、大正15年に創業し、まもなく創業100周年を迎える歴史ある米穀店。古琵琶湖層の栄養豊かな土壌や淀川の源流域となる清水の中で育った伊賀米を取り扱い、五ツ星お米マイスターである4代目店主がセレクトした伊賀米や雑穀米を地域のお客様へ届けています。近年では、赤ちゃん体重米やあいさつ米などのギフト商品がヒットし、コロナ禍におけるEC市場の拡大を受けて売上を伸ばしました。今後さらに拡大するためのヒントや改善点を求めて、経営改善コーディネーターや専門家に相談することにしました。
どのような相談をしましたか?
当社は2008年からショッピングモールに出店し、ネット販売を開始しました。試行錯誤しながら売上を拡大してきて、近年では赤ちゃん体重米やあいさつ米などのギフト商品がヒットし、コロナ禍におけるEC市場の拡大を受けて売上を伸ばしました。
しかし、モール型のネットショップでの売上はあるが、出店料やポイント負担など販売に係る手数料を考慮すると、そこまで収益性は高くありません。
収益性を高めるためには自社ECサイトでの販売を強化した方がよいことは分かっていたのですが、具体的な方法がわかりませんでした。そこで、ネット販売で成功している事業者の戦略や、現状の通販サイトをどのように改善すべきかを経営改善コーディネーターや専門家に相談することにしました。
どのような助言を受けたか?
当社の通販サイトを見せて、売れ筋商品やこれまでの販売方法について説明したところ、単純に商品を並べて売るのではなく、販売ストーリーをたてて戦略的に売るよう助言を受けました。また、どの商品がいくつ売れたかだけでなく、一度買った顧客が2回目以降のリピート購入をしてくれているか、LTV(顧客生涯価値)の視点も大切だと助言を受けました。
具体的な提案としては、以下の3つがありました:
提案1:集客のための目玉商品と最終的に勧めたい商品を明確にして販売シナリオを考える
提案2:顧客をセグメントして、顧客にあった販促を実施する
提案3:効果測定を行って、データに基づいて改善策を考える
改善提案を受けて何をしましたか?
これまでも初回「お試し商品」を販売していましたが、気に入ってくれた人がまた買ってくれたらいいな、くらいにしか考えていませんでした。助言を受けて、フロント商品(集客のための目玉商品)、バックエンド商品(最終的に勧めたい商品)を整理し、ECサイト内の打ち出し方を変更しました。
また、顧客との関係性をつくりリピート購入を促進するため、LINE公式アカウントを導入し、新商品やお得な情報を定期的に配信するようにしました。さらに、顧客にあった販促を実施するため、初回購入者への同梱チラシとリピート購入者への同梱チラシを分け、商品パッケージにQRコードを設置するなど、商品や販促物を点で考えるのではなく、販売シナリオに沿うように再整備しました。
支援を受けていかがでしたか?
ネット通販サイトの見た目は同じように見えても、「ただ商品を掲載して売る」のと「販売ストーリーをたてて戦略的に売る」のとでは、大きな違いがあることがわかりました。
また、これまでショッピングモールに出店しているECサイトの成功事例ではなく、自社ECサイトの成功例を聞くことができ、視野が広がりました。ショッピングモール内ECサイトと自社ECサイトの役割を分け、段階的に自社ECサイトの売上比率を高めていく具体的な方法を教えていただき、とても勉強になりました。
クーポンごとの使用率や使用者の分析、アクセス分析など高度な助言もいただいたので、今後はデータ活用についてもチャレンジしていきたいと思います。
行動計画
商品企画
新商品開発- 現在、売れ筋の商品に続く新商品を開発する
- 毎月発送する定期購入品や発送する商品を変える頒布会の商品企画を行い、顧客獲得を図る
顧客ターゲットに合わせた販売促進
プロモーション- LINE公式アカウントを活用し、ターゲットに合わせたメッセージの配信を行い、着実にターゲットに響く情報発信を行う
- 安心して購入し、共感・満足してもらうために同封チラシの改善を実施する
データ分析と活用
営業手法の改善- クーポン毎の使用率や使用者の分析し改善する
- アクセスデータを集計・分析し、データに基づいてサイトの改善を行う